「BCAAやHMBって名前は聞くけどどんな働きなの?」
「プロテインにBCAA、HMBは必要?入ってる製品を選ぶべき?」
ここ最近BCAAやHMB配合のプロテインが増えました。ではプロテインを選ぶ際はBCAAやHMB配合を選んだほうがいいのでしょうか?
結論から言うと健康目的で使う分には不要だと思います。通常のプロテインで十分です。
今回BCAAとHMB、たんぱく質とアミノ酸の関係からここらへんを解説したいと思います。
BCAAとは?たんぱく質と必須アミノ酸の関係
BCAAとは、運動時の筋肉のエネルギー源となる3種の必須アミノ酸、バリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。
アミノ酸は枝わかれするような分子構造をしているためBranched Chain Amino Acid(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれます。
少したんぱく質とアミノ酸の関係を詳しくお話しすると
- たんぱく質は身体の維持(筋肉や臓器、血液、骨、皮膚、髪などの合成)に必要
- たんぱく質は20種類のアミノ酸が数十~数千個がつながって構成されている
- 日常食べ物から摂取したたんぱく質は体内でアミノ酸に分解され再度合成される
という感じでさらにアミノ酸は
- 20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で合成不可(ので食べ物から摂取する必要がある)
- 体内で合成できない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と呼ぶ
- 体内で合成できるアミノ酸を非必須アミノ酸と呼ぶ
- 9種の必須アミノ酸のうちバリン、ロイシン、イソロイシンの3つをBCAAと呼ぶ
という関係性になっています。20種のアミノ酸はそれぞれ特性や役割が違うのですが、BCAAの3種(バリン、ロイシン、イソロイシン)はランニングのような持久運動を行う際のエネルギー源となります。
BCAAが不足した場合、自身の筋肉中のBCAAをエネルギー源として利用し、筋肉の分解を始めてしまいます。
なのでBCAAは運動で高パフォーマンスを出したい人に必要となります。運動前や中にBCAAが推奨されるのはこれが理由です。
プロテインを選ぶ際はBCAA配合を選んだほうがいいの?
ここ最近BCAA配合のプロテインが増えました。ではプロテインを選ぶ際はBCAA配合を選んだほうがいいのでしょうか?
答えは人によります。
- BCAAが必要なのはアスリートやプロのスポーツ選手など高パフォーマンスを求める人
- BCAAや必須アミノ酸表記がないプロテインでもそれなりのBCAAの量を含んでいる
- 筋トレ後や運動しないけど健康維持で飲むなら普通のプロテインで十分
BCAAは高パフォーマンスを出すために運動前に飲む人が多いです。一方筋力アップや健康維持のためプロテインを飲む場合、タイミングはトレーニング後や日常生活、就寝前などになります。
なので目的によってはプロテインにBCAAが含まれていることは必須ではないです。
そして市販のプロテインにおいて、必須アミノ酸スコアやBCAAの量が裏面表記になくても(たんぱく質:○gとしか書かれていない)実は必須アミノ酸やBCAAはちゃんと含まれています。
これはホエイ、ソイ、ピープロテインなど原材料関係なくどのプロテインでも全アミノ酸がバランス良く含まれています。
BCAA、必須アミノ酸、非必須アミノ酸の表記をしようとすると別途分析が必要になります。市販のプロテインはそれをやってないので全部まとめて「たんぱく質:○g」とだけ書かれているのです。
なのでスポーツ選手やプロのアスリートでなければ市販のプロテイン(に自然と含まれているBCAAの量)で十分だと思います。
逆に瞬発力を出したい、試合でもっと力を出したい場合などは運動前に個別にBCAAを飲んだほうがいいでしょう。(「ファイトー、いっぱーつ!!」的なシチュエーションが必要な人ですね)
一応誤解のないように言うとプロテインに別途BCAAを入れてアミノ酸スコアを高くする分には全然ありだと思います。ただ
「BCAA表記のないプロテインはダメなのか?」と言われるとそうではないということです。
プロテインにBCAA入ってなければ併用したほうがいい?
これは「BCAA表記のないプロテインなら個別にBCAAだけの製品を購入して飲んだほうがいいのか?」ということですね。
結論はスポーツ選手や運動時に高パフォーマンスを求める人は飲んだほうがいいと思います。ただそうでないなら普通のプロテインで十分だと思います。
BCAAの役割はあくまで筋肥大でなく分解を抑制したりパフォーマンスアップがメインです。
一般的に「BCAAのサプリメントは筋肉肥大に有効」と言われますが、純粋に筋肥大や健康維持を求めるなら20種のアミノ酸がバランス良く入っている通常のプロテインの方が適しています。
科学的根拠はなく、有効性についてもほとんど明らかにされていないのが実際のところです。
国立スポーツ科学センターの分岐鎖アミノ酸(BCAA)の論文について
HMBとは?たんぱく質と必須アミノ酸の関係
HMB(※)とはBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)の中でも「ロイシン」から作られる物質で以下の働きを持つとされています。
※科学的にはβ─ヒドロキシ─β─メチル酪酸(beta-Hydroxy-beta-MethylButyrate:HMB)
- タンパク質の異化(破壊)を抑える
- 筋肉減少を抑える
- 筋肉の修復、耐久性アップ
これだけ聞くと「BCAAと同じでは?」と感じるかもしれません。基本は同じなのですが1つ違うのは効果が出るとされる量です。1日3g(※)摂取することで効果がある、と言われるのですが
ロイシンのHMB変換効率は5~10%程度=HMBを3gのためには少なくともロイシンが30g以上必要
となります。
※HMBが1日3gと言われるのは厚生労働省のが公表している高齢者の筋肉低下を防ぐ - 厚生労働省の実験データで「効果が見られた」とされる量が3gだからです。(「アメリカの 70 歳の地域在住高齢者を対象とした RCT においても、レジスタンス運動中に HMB を毎日 3g 補給することにより、筋肉量の増加が期待できることが示された」という表記)
このロイシン30gがどれだけ多いか説明するために市販されているBCAAサプリメントの1例をあげます。BCAAは比率が重要でロイシン・バリン・イソロイシンが2:1:1だと黄金比と言われます。
で1食分のBCAAを8,000mg配合だとすると
・ロイシン4000mg
・イソロイシン2000mg
・バリン2000mg
となります。3種の必須アミノ酸に特化したBCAAサプリメントでさえ1gは1000mgなのでロイシンは4gとなっています。全然30gに足りませんね。20種のアミノ酸がバランス良く入っている通常のプロテインではもっと足りません。
なのでロイシン30g以上を簡単に取れる専用のサプリメントを作ろう、とできたのがHMBサプリメントなのです。
プロテインを選ぶ際はHMB配合を選んだほうがいいの?
結論から言うとHMBサプリメント単体で飲む分にはいいですが、プロテインに配合されている必要はないと思います。
HMBは筋肉の材料であるタンパク質(20種のアミノ酸)が十分にあるというのを前提に、そのタンパク質が筋肉を合成するのを促進する効果があるとされるからです。
あくまでアミノ酸の働きをサポートする、という立ち位置なので必要なのは20種のアミノ酸自体が入ってる通常のプロテインになります。
プロテインとBCAAとHMBの関係性まとめ
まとめると以下のようになります。
種類 | 成分 | 役割・効果 |
---|---|---|
プロテイン | 必須アミノ酸9種と非必須アミノ酸11種をバランス良く 製品によってはミネラル、ビタミン、各種栄養素なども |
筋肉の材料、全アミノ酸を網羅 |
BCAA | 必須アミノ酸のうち重要なバリン、ロイシン、イソロイシンの3種に特化 | 筋肉の分解(破壊)の抑制、パフォーマンスアップ、疲労感の軽減など |
HMB | ロイシンから作られるHMB成分 | 筋肉の合成のサポート |
筋肥大に必須なのは20種のアミノ酸スコアが高いプロテインで、あくまでサポートとしてBCAAとHMBがあります。
BCAAとHMBが必要なのはプロのアスリートやスポーツ選手、ボディビルダーの方であって一般の人が筋肉をつけたい、引き締めながらダイエットしたい、健康維持目的で飲むならBCAAとHMBが入っていないプロテインで十分です。