「よく人工甘味料のアスパルテームとか天然甘味料のステビアとか名前は聞くけど何が違うの?」
甘味料という言葉を聞くケースは多いと思います。ただ具体的にどのような違いがあるか分からないという人も多いと思います。
今回人工甘味料のアスパルテームや天然甘味料について解説したいと思います。
糖質系甘味料と非糖質系甘味料の2種類の甘味料
まず甘味料と呼ばれるものは独立行政法人 農畜産業振興機構の説明によると大きく分けて2種類あります。
参照元:独立行政法人 農畜産業振興機構 砂糖以外の甘味料より
- 糖質系甘味料
- 非糖質系甘味料
糖質系甘味料はいわゆる砂糖や果糖といった自然由来の甘みを多くものから、その他の糖である乳糖、糖アルコールに含まれるエリスリトール、パラチノースなどがあります。
糖質系甘味料は自然な甘さの元となると同時に炭水化物(糖質)を多く含むもの、もしくは非糖質系甘味料よりはいくらかカロリーを持つものが多いです。
非糖質系甘味料は人工甘味料と天然甘味料に分けられ、糖質を0に抑えつつ甘みをつけるために入れる甘味料といえばこちらを指すケースが多いです。
砂糖などの糖分は自然な味で甘くて美味しいですが、糖から構成されますので含まれる食品はカロリーが高くなりやすいです。
プロテインは減量や筋肉をつける目的で利用する方が多く、高タンパク、低糖質が望ましいため、糖質系甘味料でなく人工甘味料や天然甘味料を使う製品が多いです。
人工甘味料系(合成甘味料)
人工甘味料は別名「合成甘味料」とも呼ばれます。これは自然界に存在する原材料からそのまま抽出するのではなく、化学合成によって高甘味度甘味料を製造するからです。
食品衛生法の中では指定添加物とされています。
人工甘味料の例としては以下のようなものがあります。
- アスパルテーム
- アセスルファムK
- スクラロース
- サッカリン
代表的な製品としてはコカコーラ社の「コカ・コーラ ゼロ」が有名ですね。
人工甘味料(スクラロース、アセスルファムK)を使用することで0kcalをウリにしています。
なお人工甘味料は安全性に対して意見が分かれるケースが多いです。
人工甘味料(アスパルテームなど)を含む食べ物を取ると、逆に体重が増加するという報告がもあります。
これはカロリー自体は0に近いですが、成分自体がインスリンに影響を与えてしまい副作用や危険性があると言われているのですね。
一応誤解のないように説明しますと人工甘味料の多くは日本では指定添加物とされ、食品ごとに使用基準が設定されているものが多いです。
つまり国の安全基準自体は満たしている、ということです。ただ安全性とは別に影響自体はある、という意見もあるため使用せず自然の味を実現できるに越したことはないです。
アスパルテーム
アスパルテームは、アミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンを結合させて製造するアミノ酸系甘味料で、1965年に米国で発見されました。
苦味が少なく、砂糖に似たすっきりとした甘味を持ち、甘味度は砂糖の200倍と高いです。
アセスルファムK
アセスルファムKは、酢酸由来のジケテンと塩素安定剤(水泳用プールなどに使用)や酸やニトリルの洗浄用に使われるスルファミン酸、水に溶かすと硫酸になる三酸化硫黄から合成される、オキサチアジノンジオキシド誘導体の一つで、1967年にドイツで開発されました。
甘味を感じる速さが早く、後引きのない甘味を持つが、特有の苦みを感じることがある。甘味度は砂糖の約200倍であるが、アセスルファムKの濃度が低いほど甘味度が高くなることが特徴的です。
また、アスパルテームなどの甘味料との併用によって、甘味の質が砂糖に近くなる。エネルギー換算係数は0kcal/g である。
スクラロース
スクラロースは、砂糖のハロゲン誘導体で、砂糖(ショ糖)の3か所の水酸基が塩素原子に置き換わった構造をしており、1976年に英国で開発された。
砂糖に似た、後味のない甘味を持ち、甘味度は砂糖の約600倍と高い。
エネルギー換算係数は0kcal/g である。
熱や酸に強く、水、メタノール、エタノールに溶けやすい。また、虫歯の原因にならない。
日本では、1999年に指定添加物となり、食品ごとに使用基準が定められている。
サッカリン
トルエンを原料として化学的に合成される甘味料です。
甘味と痺れるような刺激の後味を持ちますが、高濃度では苦味を感じるため、糖類系の甘味料に混合されて使用されることも多いです。
またこれ自体はほとんど水に溶けないため、チューインガムにのみ使われており、通常は水溶性のナトリウム塩(サッカリン酸ナトリウム)としていろいろな加工食品に用いられます。
サッカリンはラットの動物実験で発がん性の懸念があると発表された過去があります。その後様々な動物で実験が行われ、結果的に発がん性は示されませんでした。
この経緯があるため、日本においては安全性維持のために食品衛生法によって各食品への使用量が制限されており、外装にその旨と使用量が記載されています。
天然甘味料系
人工甘味料と違い、植物の葉や果実など自然の原料に含まれる甘味成分を抽出した甘味料です。
以下のようなものがあります。
- ステビア
- 甘草(グリチルリチン)
- ラカント(羅漢果(らかんか)から抽出した成分)
ステビア
ステビアは南米原産の多年生キク科植物のキク科ステビア属の多年草(別名アマハステビア)に含まれる甘味成分を抽出して製造される甘味料です。
この甘味成分は国際的には『ステビオールグリコサイド』(ステビオール配糖体)と呼ばれます。
性質としては
- 砂糖に近い甘さを持ち、甘味度は砂糖の10~300倍と高い
- エネルギー換算係数は4kcal/gと砂糖と同じだが高甘味度なので低カロリーを実現できる
があります。
ステビアは2008年JECFA(※)に試験データを元に評価され、 2010年EFSA(※)でも安全性に問題がないことが確認されています。
結果、ステビアは甘味料の中でもデータを元に第三者機関から安全性が確認された成分として認知されています。
糖尿病患者の血糖値の管理に役立つことも証明されています。
※国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)が設ける、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議「FAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives (JECFA)」
添加物の安全性評価を行う
※欧州食品安全機関 (European Food Safety Authority、略称:EFSA)
食品(農作物からサプリメントまで幅広く)の安全性について、専門家らによ科学的に評価する
甘草(グリチルリチン)
甘草(カンゾウ)に含まれるグリチルリチン酸を抽出したものです。
砂糖の約150倍の甘味を持つ甘味料であると同時に、漢方としての一面もあり洋の東西を問わず、紀元前から薬として用いられてきました。
醤油や菓子、煙草などの甘味料として使われています。
ラカント(羅漢果(らかんか)から抽出)
人工甘味料、天然甘味料のメリット・デメリット
メリットは低糖質でありながら食品に甘みをつけられることです。0カロリーのゼリーや飲料水はほぼ間違いなく人工甘味料か天然甘味料を使っています。
デメリットは人工甘味料は安全性について意見が分かれることです。人工甘味料入りのゼロカロリー系食品、飲料を継続的に摂取することで逆に体重が増えたという事例もあります。
また科学的な味がする、という欠点もあります。これはアスパルテームやアセスルファムKなど人工甘味料に顕著で「科学的な味」がしやすいです。
後味の悪さや気分の悪さを誘発することもあります。
一応天然甘味料、特にステビアであれば自然な甘さに近づけることは可能なのですが、ステビアであっても大量に使用した場合やはり科学的な味がしやすいです。
なのでプロテインを始めとする食品を選ぶときは
- 人工甘味料・天然甘味料を含まない
- 無理なときは人工甘味料でなく天然甘味料(ステビア)を使ったものを選ぶ
- 天然甘味料(ステビア)も極力使用量を減らした製品を選ぶ
ことをおすすめします。